Vol.24 高断熱住宅が脳血管疾患を防ぐ

我慢強さがあだとなる脳血管疾患の現実。

2012年09月21日更新

■南国、鹿児島県の脳血管疾患は、東北よりも多いという現実。

まさかとお思いになるかも知れませんが、南国の鹿児島県は、日本で最も脳血管疾患(脳卒中・脳梗塞等)の多い土地です。脳血管疾患は、塩分の取りすぎが指摘されてきた東北地方が多いとされてきましたが、鹿児島の人々が、そんなに塩分を取り過ぎているとは考えにくいところがあります。図・2の様に女性では、秋田・宮城・山形県よりも多くなっています。さらに東北と同じような塩分量の北海道では脳血管疾患が少ないことで知られています。近年の研究で判ってきたことは、確かに東北は塩分の取り過ぎという側面はあるにせよ東北と同じように脳血管疾患の多い鹿児島や高知県の場合は、塩分摂取量とは、あまり関係がない事が判ってきました。
世界保険機構の塩分量の多い国の筆頭は、日本ですが世界一の長寿国です。塩分量の摂取量が少ないアメリカで28位です。脳血管疾患も塩分量以外に問題があるのではないかという研究が進んできた結果、日本の場合は、冬の住宅環境に問題であることが判ってきました。20年前は、日本一の脳血管疾患を発症させていた宮城県では、住宅の高断熱化によって、男女ともに脳疾患が大幅に改善されて来ています。

脳血管疾患の都道府県別年齢調整死亡率 【平成17年】

■冬の寒さを我慢する生活が脳血管疾患の引き金に。

各大学のフィールド調査の結果判ってきたことは、脳血管疾患が多い東北以南の温暖地域では、冬季間の住宅の温熱環境に問題があるのではないかという結論に達しています。この様に、食文化以上に住環境が健康に大きな関わりがあることが認識され、各大学の研究で、冬季の温熱環境の重要性が指摘されています。該当する各県の人々は、自分たちの地域が温暖地域であるため断熱など必要ないと感じているようです。特に栃木や群馬の場合は、女性の脳血管疾患が多いのですが「かかあ天下と空っ風」共通するのは、女性がとても働き者だと言うことです。それと共に我慢強い、これは鹿児島や高知県にも当てはまります。確かに栃木や群馬、鹿児島などは夏暑い地域ですが、冬もまた空っ風が吹いたり、高低差のある土地柄で寒い地域でもあるのです。人間は、20℃を切れば、寒さを感じ始め、15℃以下になると暖房が必要になってきます。南国の鹿児島でも一年に一度や二度は雪が降りますし、マイナス10度以下に成ることもざらにあります。研究者の調査では、寒冷地の北海道では、室内温度が10℃以下で生活することはありませんが、栃木や群馬、鹿児島では、10℃以下で生活している例が非常に多いという調査結果が出ています。脳血管疾患が多い原因は、住宅の断熱不良で冬の寒さを我慢して生活していることにあることが判ってきたのです。

寒冷地の北東北も脳血管疾患が改善されていないのは、建築されるほぼ半数以上の住宅が未だに平成4年基準で建てられている住宅が多いと言うことを示しています。高性能か低性能住宅かの両極端に偏っていることが指摘されています。東北地方では、確実に平成11年基準の次世代省エネ基準を最低基準と考えないといつまでも成人病多発県の汚名を捨てることは出来ません。

■健康も目安は、暖房なしでも10℃を切らない室内温度。

断熱施工が重要なのは、暖房していない部屋の温度も高める効果があることです。これは断熱性能が高いと窓からの日射熱や人体、照明、家電からの熱が屋外に放熱されにくくなるからです。下表は、Ⅳ地域(東京)の同じ住宅モデルを用いて、昭和55年(1980年基準・等級2)、平成4年(1992年基準・等級3)、平成11年(1999年基準・等級4)、平成11年(1999年基準・等級4+α等級・2020年基準相当)の5種類の住宅の一日中暖房していない寝室の温度を計算によって求めたものです。断熱性能が高いほど終日、温度が高くなっていることが判ります。起床時間の6時の温度を比較すると1980年基準の住宅と比較して1999年基準の住宅では4.7℃、1999年+開口部強化住宅では6.7℃も高くなっています。ヒートショックが起きる温度は、10℃以下となっていますから、健康面からは10℃以上の室温が必要と言われています。従って、健康を守るためには、少なくとも1999年基準(次世代省エネ基準・等級4)が必要です。当社の住宅性能は、①の1999年基準・等級4+α等級・2012年基準相当)を標準に施工しています。残念ながら現在でも多くの住宅は③・④が標準です。これが脳血管疾患が減らない原因になっているのです。東京や九州、四国などとは比較にならないほど寒さの厳しい東北や北海道では、室温を10℃以下にしないことは常識になっていますが、それでもまだまだ常識はずれの住宅が建っています。それが未だに脳血管疾患が減らない原因です。

■家族の健康を守るために必要な高断熱・高気密住宅。

更に脳血管疾患以外にも、多くの病気が住宅の温熱環境に起因していることが判ってきました。例えば、糖尿病の発症も70%以上、温熱環境に影響されて発症すると言うことなど、冬季の温熱環境の重要性が次々と明らかになってきたのです。高断熱・高気密住宅は、冬対策だけの住宅ではありません。夏も快適に過ごせる住宅です。しかも夏の冷房経費や暖房経費も驚くほど少なくて済みます。家族の健康を守る高性能住宅を是非、当社の省エネルギー対策と高断熱・高気密工法でお建て下さい。