Vol.86 「フラット35」が、二つの有利な制度変更?

住宅ローン金利の上昇の中で、住宅金融支援機構の「フラット35」に制度改革?
団体信用生命保険の保険料が、本年10月からローン金利の中に含まれました。

2017年11月29日更新

「フラット35」の金利が10月に0.3%上昇した理由!

2019年の10月から「フラット35」の制度変更が行われ「フラット35」の金利が9月の1.080%から、10月には1.360%に約0.3%の金利上昇がありました。これは、住宅金融支援機構が行っている金融支援事業の「フラット35」の制度改革によるものです。
この金利上昇の理由は「フラット35」を利用した場合、団体信用生命保険の加入が義務づけられていますが、一般の銀行で借り入れる住宅ローンでは、団体信用生命保険の保険料が予め金利に含まれている場合が多いのに対し、「フラット35」の場合は、保険料が別枠になっているため、一般銀行よりも手続きが煩雑になっていたのと、保険の契約内容によって金利が異なることから、一般銀行で住宅ローンを借りる場合と住宅金融支援機構の「フラット35」を選択した場合の金利差が、比較しにくい場合が多く、今回の改正で銀行と同じシステムになったため、金利比較が簡単に出来るようになりました。
(表・1)のように保証の見直しも行われ、高度障害補償が身体障害補償に変更されるなど、3大疾病付団信保険では介護保障も対象になりました。

【フラット35】の変更点

本年4月から導入された「アシューマブル・ローン」とは?

「アシューマブル」とは(借金などの義務の)引継ぎ可能な、という意味であり「アシューマブル・ローン」は日本語で「債務承継型ローン」と訳されます。中古不動産売買時に売主のローンを買主へ引き継げるローンで【フラット35】の返済中の住宅を【フラット35】の残債と共に、住宅購入者へ引き継ぐことができるようになりました(引継ぎは1回限り)。
住宅購入者は売り主の【フラット35】契約時の金利のままでローンを引き継ぐことができるため、【フラット35】の中古住宅を購入する場合、新規に住宅ローンを借りる場合と、売り主が契約した金利のどちらか低い方の金利を選択して、金利が上昇している時には売り主の【フラット35】の返済を引き継ぐことができます。
「アシューマブル・ローン」の登場で、買い主もローン残高を差し引いた金額で住宅を取得できるので、手持ち資金が少なくても住宅の取得が可能になります。
(表・2)のように売却金額がローン残高より高い場合は、買主から売主に売却金額からローン残高を差し引いた額が支払われ、逆に売却金額がローン残高より低い場合は、売主から買主にローン残高から売却金額を差し引いた金額が支払われます。このように「アシューマブル・ローン」は、住宅ローンをセットに不動産売買ができる画期的な住宅ローンなのです。

アシューマブルローンの仕組み

【フラット50】と【フラット35】の併用で楽々、返済計画。

【フラット50】は最長50年返済が可能な全期間固定金利型の住宅ローンです。
省エネ・耐久性に優れた長期優良住宅の購入を後押しするために生まれたローンで住宅の長寿命も後押ししています。
【フラット50】の融資の対象は長期優良住宅に認定された住宅に限られます。長期優良住宅とは「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」に基づき、耐震性や省エネルギー性など一定の基準を満たした住宅のことで、この法律が施行された背景には、住宅を長く使うことで、立て替えの費用や廃棄物の発生を抑え、住む人の費用や環境への負担を減らす目的も含まれています。
但し【フラット50】を利用できるのは、申込時の年齢が満44歳未満の方で、借入期間は36年以上50年以内ですが、80歳までに完済する必要があります。
例えば35歳の人が利用する場合の返済期間は年齢+44歳で80歳(満年齢)を迎えるので、最長44年です。そのため、借り主個人だけで、最長50年の返済期間を利用できるのは、30歳未満の人に限られますが【フラット50】には親子リレー返済があり、このシステムを利用する場合は、44歳以上でも利用が可能です。
借入額は100万円以上6千万円以下で、住宅購入価格の60%以内ですから【フラット50】だけでは購入価格のすべてを借入れることはできません。
しかし【フラット50】は【フラット35】と併用することが可能で、【フラット50】と【フラット35】の合計で200万円〜8千万円まで、購入価格の100%まで借入れが可能です。
【フラット50】で住宅ローンを借りる最大のメリットは返済期間を長くできることで、毎回の返済額を低く抑えられることです。35年返済では毎月の返済負担が大きく、購入をあきらめざるを得ないという場合でも、返済期間を長くできれば、家賃程度の返済で住宅を取得することも可能になります。

最も重要な「耐震性能」と「温熱環境」の関係。

耐震性能について基礎の造り方や構造強度など、物理的に重要な部分はセオリー通りに施工されたとしても、それよりも、もっと重要なのは、住宅の劣化による耐震性能の弱体化や住宅寿命の短命化です。
温熱環境と耐震性能等の住宅の劣化には、非常に密接な関係があります。それは結露と白蟻の問題です。適切な温熱環境は、我々人間の快適な生活に必要なのではなく、住環境そのものの長寿命化に、最も必要な事です。結露が頻繁に発生している住宅は、構造材等、目に見えない部分の劣化を早めています。更に白蟻や腐朽菌の被害を受けている危険性があります。
耐震性能を盤石にするためには、温熱環境を高めて、結露の発生を完璧に防ぐ必要があります。カビの発生もダニの発生も、結露が発生する室内環境に原因があります。
住宅の高耐久性能は、金物などを多用して強度を高めることによって生まれるのではなく、温熱環境の高性能化によってのみ生まれます。
快適な「温熱環境」の住宅は、地震などの自然災害から我々を守るだけではなく、省エネルギーで生活でき、カビやダニなどの被害を受けない、住宅も人も健康な環境でもあるのです。

30歳以下でも住宅は建つ、住み替え、買い換えも可能。

「アシューマブル・ローン」は本年4月から開始されましたが【フラット50】の場合は、当初から「アシューマブル・ローン」が使えました。
近年は住宅建築を行う方の年齢が低くなり、30歳以下で住宅を建てられる方が増えています。 住宅建築の動機をお伺いすると、家賃が勿体ないと言われる方がほとんどです。家賃は貯まらないけど、住宅ローンは財産だと言われる方も多いのです。これは「アシューマブル・ローン」をしっかり理解しておられ、何らかの人生のトラブルで、返済が困難になった時には潔く、住宅を売却するという前提に立って考えられています。
例えば【フラット50】で建てられたとしても、50年間同じ住宅に住み続ける必要は全くありませんし、家族が増えて手狭になったら、住宅を手放し再度住宅を建てることも可能です。住宅建築に興味のある方はシミュレーションだけでも大歓迎です。住宅の事ならどんなことでも、弊社にご相談下さい。皆様のご連絡をお待ちしております。