Vol.92 住宅の快適性、PMV全棟測定を検討中!

住宅の温熱環境に、PMV「国際規格、ISO・7730」があることを、ご存じですか?
PMV(予想平均温冷感申告)とは、科学的に温熱環境を知る手段です。

2018年2月23日更新

本当の住宅の快適性は、6要素の測定によって決められる?

 住宅展示場などで、快適な温熱環を解説される場合、夏ならば室温28℃、湿度50%とか、冬ならば室温23℃・湿度50%等と解説されると思いますが、これは快適に生活できる温度と言うことではなく、室温や湿度の目安の数値を定めて、あるいはその数値に誘導した数値に室温を合わせている場合が多いようでが、実際には【温度・湿度・放射・気流+活動量・着衣量】の6つの要素で住環境の快適性が決まります。
住宅の温熱環境は、国際規格ISO基準で決められており、PMVで測定されます。PMV「予想平均温冷感申告」は1994年に国際規格に認定されており(ISO7730)ASHRAE(アメリカ暖冷房冷凍空調学会)の基準SET☆(標準有効温度)と共に、世界2大、温熱環境指標と言われており、国土交通省のNEB「ノン・エナジー・ベネフィット」(省エネ以外の温熱環境の便益)でも、夏の居住環境の温・湿度は「室温28℃前後・湿度60%前後」を推奨しています。
「PMV」も同様の温・湿度を示していますが、注意しなければならないのは「室温28℃前後・湿度60%前後」の場合の不快指数は、半数以上の人々が不快と感じる数値になります。これは着衣量が室外の着衣量で算定されているからで、熱中症を防ぐ為には、冷房を行っている室内での着衣の工夫や、扇風機やサーキュレータ等で補助通風を行うなど、温熱環境を健康的に守るための生活の工夫が必要になります。

PMVとPPD(予測不満足者率)を5%を想定している。

 表・1は「財団法人ビル管理教育センターの【快適な暮らしのガイドライン】に掲載されている、快適な暮らしの温度・湿度の目安です。この様な温・湿度もPMVによる測定で決めらられています。
表・1はPMV日本の夏と冬の温熱指標です。PMVの優れている点は、5%のPPD(予測不満足者率)を想定していることです。PMVは体感温度ではなく、温冷感を指標にしたことが特徴で【気温・湿度・気流・放射熱・代謝量・着衣量】の複合要素を被験者に、適用範囲を変化させて体験してもらい、その温冷感を申告させて完成させたものです。表・2は、7段階評価尺度の温冷感と予測不満足率を合体させた表です。PPDの数値は、日本的に変更した予測不満足率を記載しています。

ISOはPMVが±0.5以内のPPD不快者率10%以下になる温熱環境を推奨しています。PMVの段階評価尺度は北欧(デンマーク)を基準にした尺度ですが、「ASHRAE7段階尺度」と同じ尺度を採用しており、PMVとASHRAEのSET☆には、大きな差はありません。我が国の場合、高温域の快適さの指標として、不十分な部分もあり、表.5のPPDの数値のように、補正した数値を採用して実態に即したPMVの補正が試みられています。

PMVはエアコンの評価にも使用されている。

 20年以上も前に、国際基準に採用されていたPMVが、なぜ今、注目される様になったのか、疑問に思われる方もいらっしゃると思いますが、我が国の住宅性能は、今まではPMVの測定をする価値のない住宅性能だった、と言うのが最も単純明快な答えかも知れません。エアコンなどにしても、畳数などを決める測定家屋は、最も断熱性能の低い都会の一般家屋がモデルで、高性能住宅には、ほとんどがオーバースペックのエアコンが取りつけられていました。最低レベルの3kW未満のエアコンで充分な住宅にも、倍以上のエアコンが取りつけられ、コントロール不能で、乳幼児や高齢者には、病気を誘発する危険な住環境をつくってしまう場合も指摘されていました。

高性能住環境の使い方を判断して賢く生活する。

住宅の温熱環境に係わる設備機機の世界では、PMV測定が当たり前になっています。家庭で使うエネルギーを節約する管理システム、HEMS(ホームエネルギー・マネジメントシステム)など、高性能住宅に使用される設備器機の開発と共に、今求められているのは、高性能設備が搭載できる本物の高性能住宅です。高効率家電や電気設備とつないで、エネルギーの使用量をモニター画面などで「見える化」したり、家電機器を「自動制御」するHEMSも、国の方針では2030年までに全ての住まいに設置することを目指しています。弊社では全棟、PMV測定を実施することで、皆様のご期待にお応えして参る所存です。

熊本県内で「既存不適格」住宅の危険を声高にお伝えしているのは「弊社だけ」?

1981年に、頻発する地震災害に対し、耐震基準が変更になりましたが、耐震基準が変更になった以前と以後の住宅では、雲泥の差で差別化されました。新耐震基準以前の住宅の扱いは、耐震性において「既存不適格」と認定され、新基準適合住宅と差別しました。 現在でも「既存不適格」住宅の名残は「地震保険」に残っていて1981年以降に建てられた住宅は10%の割引と表記されています。いま新築した住宅が、新築2年後には「断熱性能の既存不適格住宅」と認定されたら、住宅の資産価値は一気に低下してしまうのが必定です。それを回避するためには、数値の裏付けのある高性能住宅を建てなければなりません。
それを回避するためには、現在の「省エネ基準」温熱環境、最高等級4の倍以上の住宅性能が必要です。
現在、住宅建築をご検討中ならば、2020年基準でも問題のない高性能住宅について、史幸工務店にお問い合わせ下さい。