Vol.140 瑕疵担保責任が契約不適合責任へ!

瑕疵担保責任は、瑕疵の有無から契約に適合しているか否かが問われることに。
2020年4月から「民法改正」で、新築住宅等の契約が約200項目改正。

2020年3月26日更新

民法改正により、瑕疵保証責任が契約不適合に!

本年4月から民法が改正され新築住宅などの契約ルールが大幅に変わります。
その内容は、今まで「瑕疵担保責任」と言う住宅のみが対象だった瑕疵保証から、住宅の性能やサービスにまで幅を広げた、住宅全般の契約に対する適合、不適合を問うものに変更になり「瑕疵保証」から「契約不履行」を問うものにかわります。
住宅(特定物)だけではなく、耐震性能や断熱性能など、住宅に伴うサービスにも範囲を広げて消費者を守るというスタンスにシフトしています。

新民法で消費者の権利が大幅に拡大しました!

「契約不適合」の権利行使は、施主が契約不履行を知ったときから1年以内の通知で良く、従来は期限があった権利行使に制限が設けられておらず、改正民法の債権の時効規定に準じるため「知ったときから5年、権利が行使できるようになってから10年で権利が喪失する」ことになります。従来の施主の権利は「契約解除」や「損害賠償」のみだったものが「改正民法」では「追完請求」(完全履行請求)と「代金減額請求」も可能になるなど、消費者の権利が拡大しています。

新民法の「追完請求」や「代金減額請求」とは。

「追完請求」とは「契約不適合」がある場合、修繕や代替物の引き渡しなどを求めることが出来ることで「代金減額請求」は、契約した内容と現状の差異を見積もり、その分の代金の減額を請求できることです。
「契約解除」については、債務の不履行が契約内容や取引上の社会通念に照らして軽微な場合や、施主自体に落ち度が認められる場合には「契約解除」は認められません。
契約目標に達成が可能であっても、ハードルが高すぎる場合には、解除が出来るようになっています。「住宅品質確保法」における瑕疵担保責任対応は、強行規定として、従来通り適用されることになっています。

新築住宅の構造部分や雨漏りなどの瑕疵について、引き渡したときから10年間瑕疵担保責任を負うことが義務づけられていますが、これについても変更はありません。契約によって瑕疵担保期間を20年に延長可能なことも従来通りです。ただし、期間は改正民法の権利削減期間に順じ「瑕疵担保責任」に対する権利行使に「追完請求」(完全履行請求)と「代金減額請求」が追加されることになります。

改正民法は省エネ基準説明義務制度とリンク!

本来であれば、2020年から始まる筈だった「省エネ基準」の義務化は、現状の達成率が50%に満たない現状では達成困難という事で、「省エネ基準説明義務制度」にトーンダウンして、2021年4月から始まります。弊社では、現行の「省エネルギー基準」ですら、性能が低すぎることを危惧して、民間団体の「HEAT20」基準で断熱性能を定めていますが、未だに半分以上の施工店が「省エネ基準」にも満たない住宅を建てて、販売していることに対し忸怩たる思いを抱いております。「省エネ基準説明義務制度」に関しても「施主が希望しない場合は説明不要」という付帯事項がついています。また伝統工法(壁の内外両側が真壁の土塗り壁等)には、省エネ基準の緩和措置が設けられています。

具体的には、所管行政庁が地域の気候や風土に応じた住宅(気候風土適応住宅)と認定した場合、外皮性能基準から適応が除外される。等、様々な逃げ道が用意されています。国の基準が最高だという思いもあると思いますが、現状認識をすると世界からは、かなり遅れている場合もあります。住宅について疑問や不安があれば、史幸工務店にご連絡くださいますようご案内いたします。

《改正のポイント》