Vol.186 「省エネルギー基準」の大幅改訂案中止。

「住宅の品質確保の促進等に関する法律」の住宅性能表示制度の変更!
岸田政権の「脱炭素社会」の実現に向けた改正が盛り込まれましたが一時中止に。

2022年2月28日更新

2022年度「通常国会」後半に提出延期に!

岸田政権の「省エネルギー型住宅」の「普及促進拡充」や「省エネ関連基準」の引き上げで「脱炭素化」を計る方針に変わりはないと言うものの1999年の「次世代省エネ基準」以来、最もインパクトのある改正になる予定だった2022年版「省エネルギー基準」の改訂は、2030年に新築住宅・建築物でZEHとZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)の定着目標をかかげて民間の住宅や建築物を対象にした「太陽光発電設備」の「設置義務化」と共に今回は、同時見送りになりました。

国交省・経産省・環境省の3省が合同で設置した「脱炭素社会に向けた住宅・建築物の省エネ対策等のあり方検討会」の素案では、太陽光発電設備の設置を促進するため、ZEHやZEBへの支援策を拡充し、既存建物は自治体と連携して「省エネ化改修」の促進。窓ガラスを複層や二重サッシに取り換える「断熱改修」の支援の他「耐震性や省エネ性能」が低く、改修では不十分な建物は、建て替えの誘導策も検討されます。普及に当たっては「住宅購入者」に過度な負担を強いないよう、適合を義務付ける「省エネ基準」は、性能の指標となる「トップランナー基準」を段階的に引き上げる方向です。

2022年度「省エネ基準」改正ポイント。

太陽光発電設備の導入を標準化し、既存施設にも可能な限り設置する、など「日本住宅性能表示基準改正」のとりまとめについて、経産省の「ZEH基準」の「断熱性能」をさらに上回る多段階断熱基準の普及については「積極的な取り組みが促進されることで、より省エネ性能の高い住宅の供給促進、各種基準の早期引き上げにつながることも期待される」というコメントが寄せられて「社会資本整備審議会、建築分科会、建築環境部会、建築物エネルギー消費性能基準小委員会」等において「住宅性能表示制度」における上位等級への位置づけが求められていますが、令和4年4月1日の施行を予定していた「ZEH水準」の断熱性能である「断熱等性能等級5」をさらに上回る「等級6及び等級7を創設」するため「表示基準及び評価方法」の基準の改正を行う。という概要になっています。

最も大きな改正点は、新設される等級5・6・7の高性能基準

「日本住宅性能表示基準」は「経産省」主導の設備機器による住宅の「省エネルギー」や高性能化から「国土交通省」主導の「住宅性能」からのアプローチに変更になり、今回の改正では民間組織の「HEAT20」が提唱している性能表示「G1・G2・G3」基準が「5地域」の一部修正を行ってG2が「等級6」・G3が「等級7」の最高基準として採用されることになっています。

民間が実践している現実的な性能数値が「性能基準」に反映されることになりました。
国の「省エネ基準」で経産省が主導した「最高性能」の「ZEH基準」を「等級5」にするなど、かなり意欲的な改正案になっていました。

大手ハウスメーカーやビルダーの場合「HEAT20」のG2・G3基準はかなりハードルが高く、現状の「スチールハウス」では「等級5」が限界ではないかと考えられます。
そうした思いが杞憂で終わることを祈りながら、表1・2・3を表示しました。表1では現行「省エネ基準」と「HEAT20」を比較してみて下さい。表2は、新等級の性能値で、赤四角内が「HEAT20」から一部性能を落としたものです。表3は高性能等級の「エネルギー消費量」と「削減率」です。

このまま改訂にはならないかもしれませんが日本の住宅もようやく、このレベルまで到達したことをお知らせし、通常国会提出時に、現行のままで提出されることを切に望むのみです