Vol.55 イギリスの国立天文学会議で驚きの予測!

地球温暖化対策が問題になっているさなかに、15年以内に「小氷河期」の予測。
イギリス・ウイルズで開催された国立天文学会議で「小氷河期」到来を発表。

2015年8月29日更新

■2050年までに「小氷河期」到来の予測を公表?

今月の初めNHKニュースがイギリス国立天文学会議で2050年までに「小氷河期」が到来すると警告。というニュースを伝えました。画面は、300年前にテムズ川が氷結した絵画を示して、怪訝そうにニュースを伝えるアナウンサーが映っていました。翌日の新聞にも三面の隅に小さな記事が掲載されていました。その後は黙殺されてしまったようで、関連の記事は全く見あたらなくなってしまいました。
英国ノーザンブリア大学《ヴァレンティーナ・ジャルコヴァ教授(数学)》によると、現在の太陽活動についての予測を、実際のデータと比較すると、マウンダー極小期と「小氷期(ミニ氷河期)」が、97%の確率で、あと15年ほどで再び訪れる可能性があるということが、英国ウェールズのランディドノで開催された「全英天文学会議2015」で発表された。と言うことが判りました。

■現在の太陽黒点活動と類似する「マウンダー極小期」!

マウンダー極小期とは、太陽活動のバロメーターである太陽黒点が通常であれば4万~5万個程度が観測によって数えられる期間に、マウンダー極小期中の30年間で観測された黒点数は、約50を数えるだけで、当時の太陽天文学の研究者で黒点現象の消失について、過去の記録を研究したエドワード・マウンダーの名前に因んでいます。
英国発のニュースだから、早々に取り上げられたようですが、太陽の異常な静穏化現象により寒冷化の疑念は、我が国でもすでに常識化しているようで「日経サイエンス」2012年8月号に、すでに「マウンダー極小期」が掲載されていました。要約すると「最近の研究によると、マウンダー極小期と呼ばれる17世紀を中心とした近世の寒冷期にも起きていたらしいく太陽活動の低下は、マウンダー極小期と同じように、地球の気候を寒冷化させる可能性があり、太陽活動と気候変動をつなぐカギを握るのが、銀河宇宙線で「マウンダー極小期」のような寒冷な時期には、大量の宇宙線が地球に入り込み、宇宙線が増えると雲ができやすくなり、気温が下がるのではないかという仮説で、想定されている宇宙線の作用としては、荷電粒子である宇宙線が生み出すイオンの効果によって雲の核が形成されやすくなることや、雲にたまる電荷が増えることで雲の成長が促進されることなどがある。これを実験室で確かめる試みも動き出している。」というものです。

太陽の磁気構造が変化しています。これまでは太陽の南極(N極)から出た磁力線が北極(S極)に入る2重極の構造。これが南北ともN極で赤道付近がS極となる4重極構造に変わりつつあるようです。

■太陽観測衛星「ひので」と国立天文台の見解。

2006年9月に「ようこう」の後継機として打ち上げられた太陽観測衛星「ひので」を運用している国立天文台の常田教授によれば「太陽の磁場は地球と同じく、北極がS極、南極がN極という「二重極構造」になっていることが多いが、太陽の磁場が二重極や四重極、六重極、八重極、それ以上に変化し得ることは理論的に予測されていたことで、こうした極構造の変化が、これまでにも太陽活動の変化となって現れている、という指摘も研究者によってなされています。黒点数は11年周期で増減を繰り返しますが、周期にはブレがあり、黒点数の増減数も異なり、1645年から1715年にかけて長期間、黒点の数が非常に少なくなった時期を「マウンダー極小期」と言いますが、フランスのソコロフ、ニーセムレベスの両博士は、マウンダー極小期には、1994年に太陽が四重極になり、太陽活動が停滞していた可能性があるという論文を発表しています。やはり黒点数が少なくなった、ダルトン極小期(1790年〜1830年)では、黒点数変動の周期が通常の11年よりも長く、13〜14年になっていたこともわかっています。1996年に黒点数の減少が始まった周期も12.6年と長く、これは210年ぶりのことでした。

■寒冷化・温暖化をどう考えるべきか?

それでは、仮にマウンダー極小期並みに、太陽活動が低調な期間が長期間続いたとしたらどうなるのでしょう?
北半球の平均気温はマウンダー極小期でマイナス0.6℃、ダルトン極小期でマイナス0.5℃低かったので、小氷河期と言っても20℃も30℃も低くなるわけではないのです。平均気温0.5℃低くなるだけで、飢饉や干ばつが発生するだけ地球環境はデリケートです。1940年以降、地球の平均気温は30年で約0.5℃上昇しており、これが温暖化として問題になっているのです。マウンダー極小期のような太陽活動の停滞期が訪れると、地球温暖化による気温の上昇分を相殺する可能性もありますが、温暖化と寒冷化が混在して、大きな天候異変を起こす可能性もあります。温暖化にも寒冷化にも対応可能な、ハイブリッドな本物の住宅性能が求められます。