史幸便り
Vol.144 コロナ特例の利用には、購入リスクも!
《消費増税特例(13年間の減税処置)がコロナウイルス拡大で、21年まで延長!》
入居一年間猶予の駆け込み建築の募集には、巻き込まれない方が得?
2020年5月29日更新
コロナ禍による工事停滞で、入居期限の一年間の延長。
消費増税に伴う減税特例の入居期限(20年12月末)の一年間の延長で、これからプランを練っても、お得な消費減税に充分間に合います。という建て売りメーカーなどの宣伝文句が目立つようになっていますが、この特例を活用するためには、注文住宅で本年9月末まで、分譲住宅なら本年11月末までの契約が必要で、時間的な余裕があまりありません。もちろん「住宅購入の契約が既に済んでいる方や、工事が始まっている方」には十二分に、消費増税による住宅減税は、大きな恩恵があります。
●図・1、住宅ローン減税は、毎年末の支払い残高の1%等を10年間にわたって減税控除する仕組みですが、19年10月に消費増税対策として控除期間を10年から13年にのばす特例でした。本来ならば、1年の入居期限の延期は、住宅購入希望者にとって、有利な条件になるはずでしたが、多くの専門家が今回の条件に対する駆け込みを危惧しているのは、図・1の消費増税による13年間の控除の仕組みにも理由があるからです。
図・1 ●消費増税のための減税特例の延長
●図・2、10年目まではローン残高などの1%が控除されますますが11〜13年目は残高の1%と「建物価格×2%÷3」を比較して低い方が控除されます。消費税が8%から10%になった事の控除対応が本来の目的であるため、消費税が必要ない土地をのぞいて建物の2%増税分を3年間で返済する形になっています。残高が相当少ない人などをのぞけば、11年〜13年目は「建物価格×2%÷3」が適用され、10年目までより控除価格が減る人の方が多くなります。
特例を得る事にこだわって、住宅価格や住宅ローン金利の吟味などが甘くなるとかえって、損する事の方が多くなる場合も考えられるからです。いま、シンプルに考えてみてもコロナ禍の今後の景気が、すぐに回復するとはとても考えられません。明日のことは予測できませんが、駆け込み契約の必要は、全くないように感じられます。
図・2 ●住宅ローン減税と特例の控除の仕組み
ローン金利の動向で、特例無しでも有利な場合も。
●図・3、特例が適用されて13年間の控除がある場合(A)と控除は10年のみでも建物価格が2%下落した場合(B)、同じく10年間控除で金利が0.2%低下した場合(C)を比較した場合、ローンの実質負担総額を試算すると、最も有利なのは(C)になります。その次が(B)という結果になります。特例の恩恵はないものの利息総額が少なくなる効果が大きいのです。現在の金利動向は、長期固定型を中心に一部上昇しているものもありますが、長期的には低下するという見方が圧倒的です。国の景気刺激策で最も多いのは、住宅着工の刺激策で、融資を受ける時期によって0.2%前後の金利差はさらに開く可能性が大きく、住宅価格も新築を中心に上昇傾向は、変化するという見方が、アナリストの中でも圧倒的に多くなっています。
図・3 ●特例なしで、金利や建物価格による損益シミュレーション
今回の特例を受けられる方は、資金贈与に注意。
今回の特例を受けて建築される方は、親などから贈与された住宅取得用資金が最大1500万円まで非課税になる特例と併用している場合、確定申告では住宅の取得価格から贈与税を引いた額を計算し、差し引き後の額とローン残高を比べて小さい額が適用になります。
20年までの所定期間までに契約し、21年中に入居する方は、減税1年目にする確定申告の手続きが22年にずれ込むことになるので、契約から申告の期間が2年近くになるケースもあり、「売買契約書」や必要書類の紛失に気をつけ、必要書類を纏めて保管しておく必要があります。
先に申し上げたように、景気浮揚対策として真っ先にあげられるのは、住宅の取得です。目先では、損をしたと感じることも長期的に考えれば、かえって得になることもありますし、その逆もあります。
史幸工務店では、常にお客様の立場で、最も有利な条件をご提示できるように努力しております。住宅建築で最もお施主様に貢献できることは、高性能住宅をお建てすることです。健康面でも暖冷房経費でも、すべての負荷を最小限にするためには住宅の高性能化しかありません。今後とも史幸工務店をよろしくお願いいたします。