Vol.154 脱炭素で石油燃料は、どう変わる?

自動車はEV、電気は太陽光や風力などの再生可能燃料に置き換えられる。
管内閣総理大臣の2050年までに温室効果ガス0発言の根拠はこれだ!

2020年10月29日更新

化石燃料の新しい活用で既存資源の有効利用。

水素と窒素の化合物であるアンモニアを燃焼させても二酸化炭素(CO2)は、発生しませんが、アンモニアの製造段階では、CO2が発生します。製造段階のCO2は、回収して一部は化学製品のメタノールの原料として再利用し、残りは、サウジアラビアの製造工場の近くの油田に運び、原油生産を増やすために地中に密閉注入します。このアンモニア燃焼は、現状の石炭火力発電所でも有効に活用でき、石炭火力発電所でアンモニアを20%混入して燃焼させるとCO2の発生量を20%減少させることが出来ます。

日本エネルギー経済研究所の試算では、石炭火力にアンモニアを混ぜて発電した場合、発電原価を1kW/h当たり、9.4円、石油だけに比較して1.8円の上昇になりますが、太陽光(15.6円)陸上風力(13.8円)よりも安価で現状の火力発電においても再生エネルギーに対して充分に競争力があると見ているようです。

【脱炭素】燃料(アンモニア)のサプライチェーン 図・1

化石燃料の新しい活用で既存資源の有効利用。

水素と窒素の化合物であるアンモニアを燃焼させても二酸化炭素(CO2)は、発生しませんが、アンモニアの製造段階では、CO2が発生します。製造段階のCO2は、回収して一部は化学製品のメタノールの原料として再利用し、残りは、サウジアラビアの製造工場の近くの油田に運び、原油生産を増やすために地中に密閉注入します。このアンモニア燃焼は、現状の石炭火力発電所でも有効に活用でき、石炭火力発電所でアンモニアを20%混入して燃焼させるとCO2の発生量を20%減少させることが出来ます。

日本エネルギー経済研究所の試算では、石炭火力にアンモニアを混ぜて発電した場合、発電原価を1kW/h当たり、9.4円、石油だけに比較して1.8円の上昇になりますが、太陽光(15.6円)陸上風力(13.8円)よりも安価で現状の火力発電においても再生エネルギーに対して充分に競争力があると見ているようです。

資源の有効活用で、産油国の将来も考えた新技術!

新総理になった管首相は、所信表明で2050年までに温暖化ガス排出ゼロ表明をしました。再生エネルギーの導入拡大と共に、原子力発電などが考えられますが、石油燃料からの全ての代替えは限界があります。サウジアラビアの精油所から出る、付加価値の低い石油残渣を原料にすれば、年間3000万トンの脱炭素燃料が生産可能で我が国の電源の10%を賄える規模になります。サウジアラビアと日本は、実証実験で得たデータを元に、アンモニア燃料の大規模生産や日本やアジアに運ぶサプライチェーンの整備を検討し、30年代の本格利用につなげたい考えのようです。

原油や天然ガス、石炭などの化石燃料から、二酸化炭素を取り除き、あるいは有効活用し、その中に含まれる水素を発電や燃料電池自動車等の燃料として安全に活用できれば、化石燃料を使い続ける事が可能になります。日本の化学・エンジニアリング・石油関連会社は、石油・天然ガス関連事業で実績があり、サウジアラビアのアラムコと提携し、脱炭素燃料の普及と新しい原油の活用法に、次世代燃料ビジネスの足場を築いています。

ここで考えておかなければならないのは、クリーンなエネルギーは自然由来の再生可能エネルギーばかりでは無いということです。不安定な自然エネルギーを主要エネルギーとして扱うには、大がかりな蓄電装置が必要になってきます。

工場などで必要とする電力や、製鉄などで必要とする火力は、既存の原油や石炭燃料であれば、安定して供給できますが、自然由来では、先に述べたように蓄電などで莫大な費用が発生します。それが、アンモニア燃焼という新しい技術によって二酸化炭素の排出抑制になるとすれば、産油・産炭国も安心して二酸化炭素の抑制に動くことが可能になります。

日本の優れた環境技術は水素を通じて世界に拡散。

日本政府は、水素社会の実現に向けて、2030年までの行動計画を策定し「水素基本戦略」を策定しています。欧州連合(EU)は、2050年までに4700億ユーロ(57兆6000億円)の水素戦略を発表するなど、水素を巡る競争が本格化しつつあります。サウジアラビアは、今年のG20(20カ国・地域)の議長国として、11月の首脳会議では、低炭素を進めながら化石燃料を有効に活用する「炭素循環型経済」を打ち出す見込みで、日本とのアンモニア燃料の実証実験はその中核技術として紹介されることになるようです。

管首相の排出ガス0表明もこのような、我が国の水素関連の技術力によるものです。史幸工務店もまた、常に最新の住宅建築・温熱環境技術で、皆様により快適でより付加価値の高い住宅を提供して参ります。今後ともご愛顧の程、宜しくお願い申し上げます。